2025.08.04

防災の日はいつ?防災グッズや非常食の定期的な見直しを

災害はいつ起きるか予測できません。だからこそ、災害への備えについて定期的に見直す機会を持つことが大切です。年に一度の「防災の日」を、家族で災害対策をチェックする日にしませんか?今回は、「防災の日」の由来について解説するとともに、防災グッズや非常食、避難場所に関する情報共有など、万が一のときのために準備しておきたいポイントをご紹介します。自身の家庭に合った備えがしっかりできているか、改めて確認してみましょう。

関東大震災が起きた9月1日に「防災の日」が制定された理由

毎年9月1日は「防災の日」と定められています。この日を含む1週間は「防災週間」とされ、全国各地で防災訓練や防災意識を高めるための啓発活動が行われます。ところで、皆さんは9月1日が「防災の日」とされた理由をご存じでしょうか?

9月1日は、1923年(大正12年)に関東大震災が発生した日です。相模湾北西部を震源とした推定マグニチュード7.9の大地震で、激しい揺れによる家屋の倒壊や火災などにより甚大な被害がもたらされました。※1

また、立春から数えて210日目にあたる9月1日前後は台風シーズンを迎える「二百十日(にひゃくとおか)」でもあります。二百十日は暦において季節の節目を表す「雑節(ざっせつ)」のひとつで、台風の来襲が多くなり稲などの農作物への被害が懸念されることから、古くから厄日とされてきました。

実際に過去には日本で、9月に大きな台風被害が起きています。1959年(昭和34年)9月26日、「伊勢湾台風」が日本を襲い、戦後最大級の台風被害をもたらしました。関東大震災や伊勢湾台風から得た教訓を忘れず、地震や風水害に対する意識を高めるため、1960年(昭和35年)に「防災の日」が制定されたのです。※2

日常生活のなかで災害対策について意識することはあまりないかもしれません。だからこそ9月1日の「防災の日」を、災害に対する家庭の備えを見直す日にしてはいかがでしょうか。

避難所、在宅避難、車中泊避難 防災用品
どんなものが必要?

防災グッズ

災害への備えには防災グッズが欠かせません。非常時には、避難所や車中泊での生活を余儀なくされる場合もあれば、自宅で避難生活を送る「在宅避難」となることもあるでしょう。さまざまなケースに対応できるよう、必要なものをすぐに持ち出せる状態で準備しておくことが大切です。

防災グッズとして用意したいのは「身を守るもの」と照明や「温度を確保するもの」、そして水と食料、トイレです。身を守るものには頭を保護するヘルメットや雨をしのぐカッパなどがあり、夜間の明かりを確保するための懐中電灯やヘッドライト、体を温める使い捨てカイロなども重要なアイテムです。※3

水と食料の備蓄は最低でも3日分、できれば1週間分を確保しておくことが推奨されています。大規模災害が発生した直後の72時間は人命救助が優先され、生活物資がすぐには届かないおそれがあるためです。さらに、道路やインフラの復旧には3日程度、状況によっては数週間かかるとされており、その間を乗り切る備えが求められます。※3

さらに、家族の状況に応じた備えをすることも大切です。たとえば、乳児がいる家庭ではミルクや紙おむつ、使い捨て哺乳瓶、離乳食などのベビー用品が欠かせません。そのほか、高齢者の杖や常備薬、ペット用のフードやトイレ用品など、家族みんなが非常時を乗り越えられるように準備しておきましょう。

非常食の備え方とローリングストックのコツ
食品の備蓄はこれで安心!

非常食

非常食には、火を使わずに食べられるものと加熱調理して食べるものの2種類があります。避難所ではコンロなど火気の使用が制限されていることが多いため、火を使わずに食べられる非常食があると便利です。一方で、加熱して食べる非常食は主に在宅避難で活躍します。

非常食をすでに用意している場合は消費期限を確認し、期限が近づいている食品を新しい食品に入れ替えておきましょう。賞味期限が近い食品は家族で食べてみて、調理方法を確認したり、味に慣れておく機会をつくりましょう。

そのほか、在宅避難で役立つのが「ローリングストック」という食品の備蓄方法です。ローリングストックでは、いつも利用している食品を少し多めに買い置きし、すべて食べ切る前に買い足すことを繰り返して非常時に備えます。※3

災害に備えて1週間分の水や非常食を備蓄するとなると、費用がかかるうえ保管場所の確保も大変です。しかし、ローリングストックは日常的に食べている食品を少し多めに購入しておくだけなので、お財布にやさしく特別な保管場所も必要ありません。

ローリングストックには、お米や乾麺などの日常的にたくさん消費するものや、レトルト食品や缶詰といった長期間保存できるものが向いています。また、おせんべいやようかん、飴などのお菓子は空腹をしのぐだけでなく、非常時の不安な心を癒やすためにもおすすめです。

非常時用の食料は、避難所などへ持って行ける非常食とローリングストックの両方を準備しておくのが理想的です。どちらも定期的に消費期限をチェックし、いつでも安心して食べられる状態をキープしましょう。

☆ローリングストックについてはこちらもご覧ください。
ローリングストックとは?おせんべいは非常食の定番。阪神淡路大震災30年の節目に備えを

家具の固定や安否確認の方法…
防災の日に見直したいポイントとは

防災の日

非常食以外の防災グッズも、定期的な点検が欠かせません。

ヘルメットなどの防災用品には耐用年数が設けられていますが、保管場所の環境によってはそれよりも早く劣化する可能性があります。懐中電灯などに使用している乾電池も液漏れや膨張がないかチェックし、使用推奨期限が近づいたら取り替えるなど、いつでも安全に使用できるように準備しておきましょう。

また、家族間で安否確認の方法や集合場所、地域の避難場所についての情報を共有しておくことも大切です。災害発生時に家族が別々の場所にいても各自が落ち着いて行動できるよう、事前に打ち合わせておきましょう。すでに非常時の行動について決めてあるという場合も、家族間で認識の違いがないか定期的に確かめておくと安心です。

さらに、地震による家具の転倒などを防ぐための対策も講じておきたいところです。ネジや金具で固定する方法が一般的ですが、ネジを打てない賃貸住宅などに物件向けには、粘着式や突っ張り式の固定器具が市販されています。

開き扉がある食器棚などの家具は開閉防止のストッパーを、テレビなどの家電には転倒を防ぐ粘着マットを設置するのもおすすめです。こうした対策が済んでいる家庭でも、しっかりと固定できているか確認しておきましょう。

災害対策は「一度行えば安心」というものではなく、いつ災害が起きても対応できるよう継続的な点検が必要です。9月1日の「防災の日」を家族で災害への備えを見直す機会とし、防災への意識を高めていきましょう。

【参考文献】
※1 内閣府「関東大震災100年」特設ページ
https://www.bousai.go.jp/kantou100/
※2 東京消防庁
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/qa/qa_59.html
※3 髙荷智也(2023年)「今日から始める家庭の防災計画」徳間書店

  • いしもとめぐみ

  • ライタープロフィール
    いしもとめぐみ
    管理栄養士。一般企業勤務を経て、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験。現在は、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。日本ワインとおいしいものが大好き。