お米の香ばしさやさくさくとした食感がふと恋しくなるとき、思わず手が伸びる「あられ」。あられは日本の伝統的な米菓のひとつ※1で、奈良時代・平安時代から愛されてきた、歴史あるお菓子です※1※2。しかし、せんべい・おかきとの違いや作り方についてはあまり知られていません。
この記事では、おかきやせんべいとの違い、あられの作り方や名前の由来など、思わず誰かに話したくなる豆知識に始まり、あられのさまざまな活用法まで、あられの魅力をわかりやすくご紹介します。
漢字で書くと「霰」。お菓子のあられはどこから来た?

数ある和菓子の中でも、お米を原料とするお菓子の歴史が古いことは想像に難くありません。「あられ」も例外ではなく、その歴史は奈良時代や平安時代までさかのぼります。※1※2
正確な「あられ誕生の日」はわかっていませんが、当時、五穀豊穣を願って供えたお米を煎って食べていた※3、あるいはお供えのお餅を乾燥させ、小さく砕いて食べていたことが始まりという説が有力です。平安時代には、宮中や貴族の女性たちの「ひいな遊び」の際に食べられていたおかきが、ひなあられのルーツになったともいわれています。※1
今でこそ身近でなじみのあるあられですが、もともとは宮廷での儀礼に使われたり、来客へのもてなしの場でふるまわれたりする特別な品だったのですね。
その後江戸時代になると、あられは商品として大量に生産されるようになり、徐々に手に入りやすくなっていきました。それまで特別な場で用いられていたあられは、次第に日常の中でも親しまれるようになり、広く人々に知られる存在になっていったと考えられています。※2
ところで、「あられ」というネーミングは、ご想像のとおり、空から降ってくる「あられ(霰)」に由来します。昔のあられ作りには、砕いたお餅をお鍋で煎る工程がありましたが、そのときの「パラパラ」と跳ねる様子や音が、あられが降ってくる様に似ていたのです。また出来上がったものの凸凹とした形状やサイズ感も、あられと雰囲気がそっくりだったのでしょうね。※4
あられ・おかき・せんべい―原料・サイズ・作り方の違い

あられとよく似た米菓には、おかき、せんべいがありますが、この3つのお菓子、どこが違うのかご存知でしょうか。何となく、一番大きいのがせんべいで、次がおかき、一番小さいのがあられかな?と思う方が多いかもしれませんが、実はそのイメージ、あながち遠くはないんです。
形状は丸だったり四角だったり、ときには三角のこともありますが、一般的には、せんべいが一番大きく、次に大きいのがおかきで、あられは一番小さい場合がほとんどです。特におかきとあられは、ひとくちサイズ(5cm程度)以上になるとおかき、それより小さいものがあられと、明確に区別されることが多いようです。※5
ただ、この3つには、サイズ感以上に大きな「原料」という違いがあります。あられとおかきは「もち米」から作られますが、せんべいだけは「うるち米(私たちが普段食べているご飯に使われる米)」から作られます。※6そのため、おかきやあられはお餅のようにぷくっと膨らんでいますが、せんべいだけは膨らまずに平たいままなのです。
また、作り方にも多少の違いがあります。せんべいはうるち米を粉にして練り、乾燥や寝かせの工程を経て焼き上げます。一方、おかきやあられは、蒸したもち米を餅にした後、冷やして固め、細かく切ってから、乾燥や寝かせを繰り返して焼き上げます。このように、おかきやあられは「もち米を餅にする工程」が加わるため、一般的には、せんべいよりも手間と時間をかけて作られることが多いようです。※7
☆せんべい、おかき、あられの違いについて詳しくはこちらをご覧ください。
・せんべいとおかき、あられの違い。うるち米って知ってますか?
・お煎餅の歴史とは?国民的アニメにも描かれた日本のソウルフード
ひなあられ、柿ピー、ぶぶあられ?多様なあられの種類

せんべいにいろいろな種類があることは知られていますが、あられにもさまざまな種類があります。中でもよく知られているのは、季節行事「ひな祭り」との結びつきでしょう。そして、同じひなあられでも、関東ではお米の形をしたポン菓子風の甘い味付け、関西では醤油や塩で味付けした小粒の丸いあられ、さらに東海地方の一部では細長い形をしたものがあるなど、地域によって味や形が異なるのも面白いところです。※8
お菓子としてだけではなく、おつまみとしても定番となっている「柿の種」もあられの一種です。柿の種の特徴は、中に大きな空洞がある「中空構造」にあります。これは生地となる餅をできるだけ薄く伸ばし、成形した後に高温で一気に焼き上げることで生まれるそうです。最近ではさまざまな味のものが発売されており、ますますバリエーションが広がっていますよね。
日本各地では「ご当地もの」のあられも販売されています。こうしたあられの多くには地域の特産品が使われていますが、一部では昆布やえびの旨みたっぷりのあられが、「ソウルフード」として愛されている地域もあります。また、京都では直径数ミリという極小サイズのあられ「ぶぶあられ(花あられ)」が、料理の彩りなどに用いられます。※9※10餅状にしたもち米を乾燥させ、細かくカットして炒ることで、均一な極小球体のあられが完成します。※11※12
☆海苔巻きとバラエティ豊かな素材と味付けを楽しめるミックスあられ「粒より小餅」は、おやつにもおつまみにもおすすめです。詳しくはこちら。
選ぶ楽しさ、見つけるおいしさ。おいしさよりどり「粒より小餅」
☆せんべいの種類について、詳しくはこちらでも紹介しています。
・せんべいの種類いろいろ!醤油や塩などの味付けや食感での分類、変わり種もご紹介
お茶漬けにしたり、衣にしたり…あられをもっと楽しむ方法

あられは、そのまま食べるだけでなく、料理のアクセントとしても活用できます。前述の「ぶぶあられ」の「ぶぶ」は、「お茶漬け」を指す京ことば「ぶぶ漬け」に由来しますが、※13お茶漬けのほか、お吸い物、スープなどにもよく合います。また、ぶぶあられではない小さめのあられを使うのもおすすめです。あられを浮かべれば、さらさらしたお茶漬けに、サクッとした香ばしさが加わっていっそう食欲をそそりますよね。
あられを小さく砕き、えびや鶏肉に衣としてまとわせて揚げる「あられ揚げ」は、見た目も華やか。※14冷めてもサクッとした食感が残りますし、磯部味などのあられを使えば香りも引き立ちます。ポテトサラダやチャーハンに混ぜても食感を楽しめます。
あられは、洋風にアレンジすることも可能です。例えば、溶かしたチョコレートでコーティングすれば「チョコあられ」に、マシュマロと混ぜて固めれば「おこし風」に、そしてアイスクリームやあんみつのトッピングに。あられがいっそう映える器も工夫して、新しい楽しみ方を発見してみてはいかがでしょう。
☆華やかなパッケージとバリエーション豊富なあられは手土産としても人気です。手土産のマナーや選び方のコツを案内役のお姉さんがホワミルとわかりやすく解説!ショート動画でチェックしましょう。
・「おもたせ」とは?悩みがちな手土産の定番は?
☆ちいさなあられにもぴったりな「吹き寄せ」について、詳しくはこちらで紹介しています。
・ふきよせとは?春のお菓子で楽しむ彩りと自由な詰め方アイデア
【参考文献】
※1 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/komegasi_mamegasi.html
※2 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/meno_mochi_arare_miyazaki.html
※3 六手八幡神社
https://mutehachiman.or.jp/pray/gokokuhojo/
※4 京西陣菓匠宗禅
https://souzen.co.jp/wp/about/arare/history/
※5 株式会社 阪急阪神百貨店
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/002152.html
※6 全国米菓工業組合
https://www.arare-osenbei.jp/type/
※7 全国米菓工業組合
https://www.arare-osenbei.jp/make/
※8 関西テレビ放送 株式会社
https://miyoca.jp/eat/1423
※9 京都田辺屋商店
https://kyotanabeya.shop-pro.jp/?pid=23548619
※10 七味家
https://www.shop.shichimiya.co.jp/SHOP/KS-OAR00001.html
※11 富澤商店
https://tomiz.com/information/detail/1891
※12 株式会社 七味家本舗
https://www.shichimiya.co.jp/item/bubu-arare
※13 祇園藤村屋
https://www.fujimuraya.com/shopping/shop/drink/g0243.html
※14 エキサイト株式会社 E・レシピ
https://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/3afa4cdd1ebb92e763c6cabb262977c8.html
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ライタープロフィール
澤 晶子(サワ アキコ)
WEB編集者・ライター
長年、学習塾・家庭教師勤務。フレンチ・イタリアンレストランでの勤務経験も豊富。趣味は食べ歩きと料理。季節のグルメのお取り寄せにも目がなく、特に地方限定銘菓が大好きです。


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